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保守党党首選のルールを変更 [保守党]

 保守党は党大会で3月19日、党首選のルールを変更した。
 旧ルールでは、338選挙区は全て100ポイントを有していた。党員は属する選挙区で好きな候補に投票し、選挙区で最も多くの票を獲得した候補が、得票数に関係なく100ポイントを獲得した。新ルールでは、投票総数が100票に満たない選挙区では、最も多くの票を獲得した候補が投票総数に等しいポイントを獲得する。

 単純に票数で争うのではなく、地域性が考慮されているのは、カナダ同盟が進歩保守党を吸収合併して保守党が結成されたという経緯に原因がある。カナダ同盟は西部を基盤としていたが、老舗の進歩保守党は西部の基盤をカナダ同盟に奪われ、オンタリオと東部を基盤にしていた。保守党は両派の合同を維持するため、少数派の旧進歩保守党グループを尊重する必要があった。しかし新党結成から20年間、選挙区平等を維持しようとする旧進歩保守党グループと、これを廃止しようとする旧カナダ同盟グループのせめぎ合いが続いた。なお、進歩保守党出身者が保守党党首選に当選したことはない。
 だが新党結成から20年経過し、ほとんどの議員が「保守党」出身者となり、カナダ同盟や進歩保守党の出身者はほとんどいなくなった。選挙区平等ルールが維持されてきた真の理由は、むしろ別のところにある。
 自由党は地方よりは都市で、また人口の少ない西部よりは人口の多い中部で支持されている。このような党では、地域を考慮せず単純に最も多くの票を獲得した人を当選者にしていい。だが保守党は都市よりは地方で、中部よりは西部で支持されている以上、単純な票数で決めると、都市や中部の意見ばかりまかり通ることになってしまう。そこで党員の数に関係なく、各選挙区を平等に扱うことで、党員数の少ない選挙区に有利に働く制度を採用したのだ。

 新ルールは、オンタリオとアルバータでは80%以上の賛成、サスカチュワンでは90%以上の賛成を得て成立したが、プリンスエドワード島とニューファンドランド&ラブラドルでは80%以上、ニューブランズウィックでは64%、ケベックでは62%、ユーコン・ノースウェスト・ヌナブートでは60%が反対と、党員数の多寡で明確に分かれた。過去2回の党首選では、投票総数1000票を超える選挙区のほとんどがオンタリオと西部だったのに対し、投票総数100票に満たない選挙区のほとんどはケベックと東部と北部だった。
 今回のルール変更は、2020年党首選に適用すると、59選挙区に影響を与える。そのうちケベックが52選挙区、ニューファンドランド&ラブラドルが2選挙区、ニューブランズウィックが2選挙区、マニトバが2選挙区、ヌナブートが1選挙区である。ケベック州の投票は、2020年党首選では23.1%の価値があったが、新ルールを適用すると18.2%の価値になる。ただし2020年党首選に新ルールを適用しても、結果は変わらない。
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