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保守党内にオトゥール降ろしの動き [保守党]

 総選挙で最も多くの票を得たにもかかわらず、政権奪取に失敗したエリン・オトゥール党首に対し、保守党内部の評価は割れている。
 党役員のバート・チェン氏は、敗北が判明したその日のうちに、インターネット上でリーダーシップ・チェックを実施する嘆願書を公開し、4000人以上の署名を集めている。
 党の規約では「連邦議会総選挙後の最初の党大会において、党が政権を獲得せず、かつ党首が辞任する意向を表明しなかった場合」は、自動的にリーダーシップ・チェックが行われる。これとは別に、幹部会の20%の要求があるときは、リーダーシップ・チェックを実施しなければならない。不信任票が信任票を上回った場合、党首はその地位を失う。
 チェン氏の動きは党の規約に沿ったものではなく、保守党には、彼が役員の地位を濫用していると言う訴えも寄せられた。彼は10月14日、党員資格停止60日の処分を受けた。
 チェン氏は、多くの保守党員から「オトゥール党首に裏切られた」という声を聞いた。
「私は、カナダ人は整合性を重視すると思う。そして整合性とは、約束を守り、その上で一貫性を保つことだと思う。」
 党首選では保守党員だけが投票するが、総選挙は全有権者が投票する。そこで有権者の支持を得るため、保守党党首選では右寄りの政策を掲げ、総選挙では中道寄りに修正するというのはよくあることではある。オトゥール党首は党首選では「真のブルー・トーリー」と称し、均衡財政、自由党政権が掲げる炭素税や殺傷力の高い銃の禁止に反対と主張したが、総選挙が始まると掌を返し、自由党政権以上の財政出動と低炭素政策を打ち上げ、銃規制反対は単に撤回した。
 オトゥール党首は、右派有権者の多いトロント郊外を主戦場と見なし、ここに食い込むため中道寄りの政策を採ったのだろう。だがオンタリオでの得票は前回より改善されたものの、議席の大幅増にはつながらなかった。右派有権者の多い東部では、前回の4議席に対し今回は8議席で、トルドー内閣閣僚の3人を落選させる戦果を挙げたが、東部の議席は多くはない。むしろ、ワクチンの安全性に疑いを持つ右翼有権者を、人民党にごっそり奪われる結果となった。
 匿名の保守党議員は、オトゥール党首を明確に批判した。
「彼は総選挙を、自由党として戦った。議員からも党員からも、誰からの委任もなしに。」
「テレビ討論で彼を見るまで、どんな公約を掲げていたのか知らなかった」
「オトゥール党首は今回総選挙で、彼が進んだ道を行くことで極めて大きなリスクを冒した。そしてそのツケは、まだ支払われていない。彼は辞めるべきだ。」
 彼は保守党が今回総選挙で、都市議員や多様な議員を多く失ったことは「重大な懸念」だと述べた。
 シャノン・スタッブズ議員は、オトゥール党首は中道寄りマニフェストについて「厳しい質問」に直面するだろうと語った。
「現実は、2021年総選挙の後、保守党はより地方のものとなり、これまでより多様性を失ったということである。そして我々はこの国のあらゆる地域で、大都市の偉大な、強い、必要な同士を失った。」
保守党議員119人のうち、わずか7人が有色人種(BIPOC:Black, Indigenous or a Person of Colour)で、95%が白人である。総選挙前は、91%だった。自由党では、有色人種は30%以上となる。
 自由党は、カナダの最も大きな都市の25選挙区の全部に勝った。最も大きな都市の150選挙区では、73%に当たる109に勝った。保守党が勝ったのは23選挙区だった。
 カナダの3大都市MTV(モントリオール・トロント・バンクーバー)には、338選挙区のうち116選挙区があるが、自由党は74%に当たる86に勝った。保守党が勝ったのは8選挙区だった。
 保守党がより地方の、より白人のための党となり、多様性を失っていることは明らかだ。リサ・レイト元副党首のスタッフだったアンドリュー・ブランダー氏は、一度の敗北で党首を引きずり降ろすのは、危険な先例になると警告した。
「これは、最も多くの票と議席の3分の1を得た党首を引きずり降ろす2回目となる。」
 オトゥール党首のスタッフのメラニー・パラディ氏は、敵は党首ではなくトルドー政権だと強調した。
「保守党の内紛ほど自由党が好むものはない。」
「我々は、トルドー首相に戦いを挑むことに集中すべきだ。」
 オトゥール党首は、トルドー政権が過半数を獲得できなかった以上、もう一つの選挙は近いうちにあり、いつでも戦える用意があると語った。
「我々は、得たものから確認し、失ったものから学ぶ必要がある。どんなチームも、どんな家族も、失意のとき、そこから学び、一つにまとまる必要がある。」
「我々は、もう一度戦う準備ができていなければならない。」
 彼はトルドー首相が、新設された9月30日の「真実と和解の日」の祝日にブリティッシュコロンビア州トフィノで休暇を取り、批判された事実を挙げた。
「トルドー首相は、再選された最初の10日でカナダ人をすでに失望させたと思う。」
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