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「カナダ・デー」中止の動き広まる [先住民]

 ブリティッシュコロンビア州カムループスの寄宿学校跡地で215人の子供の遺体が、サスカチュワン州マリーバルの寄宿学校跡地で751人の子供の遺体が発見されたことは、「寛容な国」で密かに行われた恐るべき暗部を明るみにした。
 カナダ建国を祝う7月1日の「カナダ・デー」が近づいている。首都オタワをはじめ各地で、メープルリーフの国旗が翻り、花火が打ち上げられるのが通例だが、今年はいくつかの先住民団体、市民団体、自治体でカナダ・デーの中止やボイコットを求める動きが広がり、ツイッターでも#CancelCanadaDayのハッシュタグがトレンドになっている。
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 先住民の権利を訴える団体「Idle No More」は、7月1日にバンクーバーとオンタリオのいくつかの都市で抗議運動を予定している。フェイスブックの団体のページには、こう書かれている。
「カムループス寄宿学校における最近の発見は、カナダが先住民の抹殺と大量虐殺の上に築かれた国のままだったと、我々に思い出させた。カナダの暴力の歴史が讃美される間、我々は座して見過ごすことはできない。」
 また「我々の奪われ殺された子供たちのための#HaltTransCanada」というページは、数百年に及ぶ占領と植民地化と抵抗を記念してトランス・カナダ・ハイウェイを1時間封鎖する運動に参加するよう呼びかけている。
 アルバータ州セントアルバート市は、花火打ち上げが寄宿学校跡地で予定されていたため、打ち上げ中止を決めた。またブリティッシュコロンビア州ビクトリアの市議会は、カナダ・デーの催しの中止を満場一致で可決した。同州ペンティクトンのジョン・バシラキ市長は、カナダ・デーの催しを中止することで「カムループスで起きたことへの敬意と和解の意を示したい」と語った。

 マーク・ミラー先住民サービス大臣は6月23日、カナダ・デーには複雑な思いがあると語った。
「カナダは世界で最も偉大な国々の一つであるが、ここで暮らす多くの人々にとって、今それは共有される現実ではない。」
 彼は、自身がケベック選出議員であるという事情から、カナダ・デーには多くの論争があり、普遍的に祝われているわけではないと指摘した。
(筆者注※カナダ・デーとはイギリス議会で、自治領政府と自治領憲法が有効化された日。ケベックは6月24日を「建国記念日」と制定している。カナダは中国人の移民を阻止するため、1885年7月1日中国人にだけ人頭税を課した。ハーパー首相が2006年に謝罪するまで、中国系住民はカナダ・デーを祝わなかった。)
「それは我々が熟考し、我々がどのような国であったか顧みる機会である。」
「連れ去られ、寄宿学校へと連行された子供たちを記念する旗は、まだ半旗として掲げられたままだ。その傷は、まだ塞がれていない。」
 キャロリン・ベネット政府=先住民関係大臣は、9月30日に寄宿学校を記念する最初の祝日を迎えるにあたり、この夏は人々がこの国の人種差別を克服するときであり、カナダ・デーはカナダの醜悪な過去について考えるときだと語った。
「カナダ・デーでは、私はオレンジ色のシャツを着ています。」

 保守党のエリン・オトゥール党首は23日、国の成果を広めるより、むしろ国を貶めることに躍起になる「極左活動家」を非難した。
「過去または現在における不正が、カナダを攻撃する少数の活動家たちにしばしば利用されることを私は懸念する。」
 彼は、カナダの歴史が不正と誤りに満ちていることは、「世界で最も偉大な国に住んでいることへの感謝」を捧げる日である建国記念日のセレモニーの中止を正当化しないと語った。
「ある人々がカナダ・デーを中止したいと言うとき、私は黙っていることができない。私はカナダ人であることを誇りに思う。そして大多数の人々は、私と同じ考えだと思う。」
「我々は、完璧な国ではない。どの国もそうではない。歴史の精密な調査に耐えられる国は、この惑星にはない。だが我々が至らないことを認めるのと、国を常に破壊しようとすることとは違う。」
 彼は、7月1日は国民がカナダに「献身」し、我が国が直面する不平等に取り組む日でなければならないという。
「それは、カナダを再構築するときである。」


図:6月は日本では梅雨だが、カナダでは晴天が続き1年で最も良い時期だと考えられている。
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