SSブログ

保守党議員、中華系の公衆衛生局長に個人攻撃 [新型コロナ]

 保守党党首選に立候補しているデレク・スローン議員が、ウェブサイトでテレサ・タム(譚咏詩)公衆衛生局長を非難し、批判にさらされている。
 彼は4月22日、フェイスブックとツイッターに掲示した動画で次のように述べている。
「テレサ・タム局長は、カナダ人を過ちに導いた。タム局長は、辞めなければならない。カナダは、その決定について独立を保つ必要がある。国連、世界保健機構(WHO)、そして中国共産党のプロパガンダは、カナダの公衆衛生において二度と発言があってはならない。」
「いったいカナダのために働くのか、それとも中国のためなのか?」
 彼はさらに、カナダの保健行政トップが、中国共産党政権の虚報を宣伝するWHOの言い分を繰り返していると非難した。

 タム局長は英領香港に生まれ、イギリスで育ち、ノッティンガム大学で医学を学び、2017年にカナダ公衆衛生局長に就任した。中華人民共和国の国民だったことはない。彼女は、スローン議員の主張を無視した。
「私は、物事に集中するたちである。そして私は、本当に懸命に働いている。毎日20時間以上も。私が今集中していることは、このエピデミックを制圧するため同僚たちと働くことである。雑音のために、気をそらすわけにはいかない。」

 保守党のシーア党首は、コメントを拒否した。
「党首選立候補者の個々の発言や姿勢について、私がコメントすることはない。それは、彼ら自身が説明することだ。最終的に党員は、党首を選ぶときに決断するだろう。」
 なおシーア党首はすでに、WHOによる情報の正確性を疑う発言をしている。
 スローン議員の発言については、保守党内からも異論が出ている。ティム・アポール議員は、ツイッターでこう述べた。
「タム局長への個人攻撃は容認しがたいものであり、我が党を代表する意見ではない。」
 エリック・ダンカン議員は、タム局長の姿勢を評価した。
「このような、日々進化し試されるようなときにあって私には、タム局長とそのスタッフに対し、異論や建設的提案があるかもしれない。しかし私は、彼女のカナダへの忠誠と、カナダ国民に心からの最善を尽くしていることは決して疑っていない。」

 トルドー首相は、アジア系住民への差別が増加していることについて問われ、次のように述べた。
「非寛容と人種差別は、我が国に居場所はない。カナダはその多様性ゆえに、成功した。」
「我々は開かれた、歓迎する、敬意に満ちた国であると決意し続ける必要がある。そしてすべてのカナダ人が、それをあらゆる政治家に期待していると、私は思う。」
 新民主党のシン党首は、スローン議員だけでなくシーア党首についても非難した。
「この危機の初期の頃から、アジア系カナダ人、特に中国系が恐るべき虐待に直面しているのを聞いてきた。スローン議員によるタム局長への発言は、疑いなくこの種の人種差別を煽るものだ。シーア党首に、これを非難する必要があることは明らかだ。」

 スローン議員は立候補にあたり、「謝罪なき保守」をスローガンに掲げている。彼のウェブサイトには「カナダで今起きている言論の自由・信教の自由・思想の自由に対する損害は、看過できるレベルではない」と書かれている。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました