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コロナ・ショック、政界を動かす [新型コロナ]

 (1) 与 党
 トルドー首相の妻ソフィー・グレゴワール=トルドー夫人が3月12日、新型コロナウイルス検査で陽性となったことを発表したのを受け、トルドー首相は14日間の自主隔離を行い、自宅で政務を執った。
 シーマス・オリーガン天然資源大臣とメアリー・ン中小企業・輸出振興・国際貿易大臣も、トルドー首相とともにカナダ探鉱者開発者協会カンファレンスに参加したが、参加者の中に陽性感染者がいたため、自主隔離を行った。

 (2) 議 会
 コロナ騒動のため、連邦議会は先々週にいったん中断され、次は4月20日に召集される予定になっている。
 ほとんどの州議会も、中断されている。マニトバ州・サスカチュワン州・プリンスエドワード島州の州議会は、告知があるまで中断される。ニューブランズウィック州とケベック州の州議会は、4月まで召集されない。オンタリオ州議会は3月19日、ニューファンドランド&ラブラドル州議会は23日に召集された。
 連邦議会では与党自由党が、モルノー財務大臣によって発表された対策について審議するため、議会を一時的に召集することで野党と合意した。
 だが、国中至るところで野党はもはや反対することなく、与党に協力しているように見える。ニューブランズウィック州では、過半数割れの進歩保守党政権に対し、野党が予算案を不信任して倒閣するかどうかが注目されたが、結果は与野党協同で可決された。ノバスコシアでは、最大野党進歩保守党のティム・ヒューストン党首がツイッターで「議論を難しくするのを避けるため、オリジナルコンテンツの製作・発表は中止する」と述べ、州政府サイトのリンクを紹介した。
 コロナ危機の中で与党は頑張っていると評価されているとき、野党が与党に強く反発するのはリスクがありそうだ。レジェ・マーケティング社による世論調査は、自由党ルゴー政権のコロナ対策にケベック州民の85%が満足しており、不満なのはわずか10%であることを示した。意外にも、ルゴー政権を支持する声は野党支持者の間で高く、与党の対策に満足している人の8割は、野党の自由党・ケベック党・ケベック連帯に投票すると回答した。
 連邦政界においても、野党は与党批判を控えている。保守党ウェブサイトは、通常なら政府批判に余念がないが、今は政府による対策を紹介することに専念している。
 ケベック連合のブランシェ党首は先週、連邦政府の対策への支持を表明した。ただし、それが人々に届くまで時間がかかることを懸念すると語った。
 新民主党のシン党首はラジオ番組で、次のように述べた。
「人々が今求めているのは、協力する政治家であり、協力するリーダーだ。その圧力が、今は恐ろしい。」
「トルドー首相は、人々に歓迎される強い処置をとったと私は考えている。だが私が人々から聞いた重大な懸念は、それらの支援が4月末か5月初めまで人々に届けられないということだ。多くの人が、それまで持ちこたえられないだろう。」
 このような「デタント」は、いつまで続くだろうか。ドイツ軍が1914年8月にフランスへ侵攻すると、野党自由党のローリエ党首は「目の前に危機があるかぎり、我々は質問しない、批判はしない、例外はない」と述べ、保守党ボーデン政権を支援すると発表した。自由党は、保守党議員が作った欠員を埋める補選に候補を立てず、無投票で当選させ、1916年に予定されていた総選挙の1年延期にも同意した。
 だが与野党蜜月は、長くは続かなかった。ボーデン首相は自由党を分断し、徴兵制に賛成する自由党議員とともに大連立内閣を組織した。そして徴兵制に反対するローリエらのグループを、総選挙で惨敗に導いた。それは与野党蜜月が、野党がとうてい容認できないような政策を与党が採るまでは続くということを示している。

 (3) 党首選
 党首選を予定していた野党各党は、いっせいに延期を発表した。党首選に参入するには、新しい党員と資金を集めるため人々の間を駆け回らねばならず、ウィルスを蔓延させる原因になりかねない。
 ケベック自由党は20日、5月に予定されていた党首選の無期限延期を発表した。ケベック党は6月19日に予定されていた党首選を、8月28日に延期した。どちらの選挙も、感染を避けるため、投票は投票所ではなくインターネットなどで投じられる。
 ニューファンドランド&ラブラドル自由党は23日、党首選を延期し、立候補者は選挙運動を中断するよう要請した。新たな日程は5月1日に決定されるが、7月以降になる。ドワイト・ボール党首(首相)は2月17日、次の党首が選出されしだい辞任すると発表したが、しばらくは留任することになる。
 ブリティッシュコロンビア緑の党の党首選は6月に予定されていて、日程の変更はまだされていないが、党首選に関する全ての公開イベントは中止となった。党は23日、党員の署名はオンラインで集めることと、立候補のための資金の減額を決定した。
 連邦保守党は、党首選の討論会を無観客で行うことと、署名をオンラインで集めやすくするための規則の改訂を行った。だが投票日は6月27日で、立候補に必要な署名と資金は3月25日までに集めるという日程に関しては、延期を求める声が多かったにもかかわらず譲歩されなかった。そのため3人の候補が、撤退した。
 ラディ・ハスニー候補は、国民の健康と医療に重大な危機が迫るなか、献金を求めて回るのは間違っていると述べ、19日に立候補を取り下げた。リック・ピーターソン候補は、党に日程変更を拒否されると、20日に立候補辞退を表明した。マリリン・グラデュ下院議員も、要求された署名と資金を集めることができず、25日に失格と判定された。これで正式に立候補できたのは、ピーター・マッケイ元法務大臣、エリン・オトゥール元退役軍人大臣、デレク・スローン下院議員、レスリン・ルイス氏の4人となった。
 オトゥール候補とスローン候補は、延期を要請した。だが大本命のマッケイ候補は「最大野党のリーダーをできるだけ早く選任することで、議会制民主主義が機能できる」と述べ、延期に反対した。ルイス候補も延期に反対し、「次の党首は『バトル検査済み』となる」と語った。
 このように延期を求める候補たちは、本命ではないと一般に考えられている。世論調査で本命のマッケイ候補は、2番手のオトゥール候補に最大で31ポイントも差をつけている。スローン候補は新人議員で、彼を支持する現職議員はなく、ブラッド・トロスト前議員だけである。ケベック自由党党首選で延期を求めたアレクサンドル・キュッソン市長は、本命ドミニク・アングラード元副首相に苦戦している。ニューファンドランド&ラブラドル自由党党首選で延期を求めたジョン・アボット元厚生副大臣は、ジョージ・フューレイ上院議長の息子アンドリュー・フューレイ候補に大きくリードされている。
 コロナ危機と戦う政権を非難することが悪趣味と見られる以上に、野党議員どうしが激しく言い争う行為は、より醜悪と見られるだろう。コロナ渦中において党首選を戦うのもまた、難しい舵取りが求められる。野党党首の選任が遅れ、暫定党首を長く置くなら、それも与党に有利に働くことになる。
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高橋幸二

 カナダ保守党は3月26日、6月27日に予定されていた党首選を延期すると発表した。新しい日程は、5月1日に決定する。
 新しい党員の入党は4月17日が期限だったが、これも5月15日に延期された。4月に予定されていた討論は、全て中止となった。
 かなり多くの党員が、新型コロナ蔓延を理由に延期を主張していた。立候補を表明していたラディ・ハスニー候補、リック・ピーターソン候補、マリリン・グラデュ候補の3人は、必要とされる署名と資金を25日の期限までに集めることができず、涙を飲んで撤退したが、これら泡沫候補とされた3人を辞退に追い込んだ直後に延期が決定されたことに、関係者は驚きを隠せない。
 グラデュ候補のために運動していたジョーガン・バーク氏は、選挙管理委員会への怒りをあらわにした。
「あなたたちは、我が党を辱めた。みんな恥を知るがいい!」
by 高橋幸二 (2020-03-27 15:36) 

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