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2019年下院選、世論調査ほぼ的中 [2019年下院選]

 2019年連邦議会選挙での得票率は、自由党33.1%、保守党34.4%、ケベック連合7.7%、新民主党15.9%、緑の党6.5%、人民党1.6%だった。大手世論調査機関14社は、支持率を自由党29~34%、保守党30~33%、ケベック連合5~9%、新民主党14~21%、緑の党6~9%、人民党1~4%と予測した。
 2社を除く全社は、自由党・保守党・新民主党について誤差が3ポイント未満だった。
 保守党と自由党は、ほとんどの社から過小評価された。保守党は全ての社から1~4ポイント過小評価され、自由党は2社を除く全社から1~4ポイント過小評価された。
 いっぽう新民主党・緑の党・人民党は、全社で過大評価された。これら中小政党の支持者は、戦略的投票で二大政党に投票したと考えると、説明がつく。
 保守党支持者は高齢者が多く、高齢者は投票率が高いことから、彼らが投票率を押し上げていることがありえる。CBCの調査は、保守党支持率についてアルバータで9.5ポイント、サスカチュワンとマニトバで8.5ポイントと、許容値を大きく超えるほどの誤差で過小評価した。それは全国では保守党支持率を2ポイント押し上げたが、議席増加にはつながらなかった。
 いっぽう自由党は、オンタリオ・ケベック・東部で予想より多くの票を取った。これらの事実は、自由党が少ない票で効率よく議席を獲得したことをある程度説明する。西部・中西部では予想より少ない票しか取れなかったが、それが統計上の誤差なのか、それとも自由党支持者が棄権したのかはわからない。
 誤差が特に大きかった選挙区は、ノバスコシア州のハリファックス選挙区、サックビル-プレストン-チェゼットクック選挙区、オンタリオ州のトロント-ダンフォース選挙区、アカディ-バザースト選挙区、ハミルトン・イースト-ストーニー・クリーク選挙区、ニッケル・ベルト選挙区、サンダーベイ-レイニー・リバー選挙区の7つである。これらは奇妙なことに、全てが2015年まで新民主党が長年保持していた選挙区で、かつ2015年に自由党に奪われたもので、かつ今回新民主党候補の当選が予想されたが自由党候補が当選したものである。うち6選挙区は2015年総選挙で新民主党現職が敗れ、今回新人候補に代わっている。アカディ-バザースト選挙区だけは、現職が2015年に引退し、同年総選挙で新人候補が敗れ、今回別の新人候補に代わっている。
 新民主党は、これらの選挙区で長年務めたベテラン議員を失ったために票を失っている可能性があり、党の勢力はさほど強くなく、過去の当選はベテラン議員の力に負うところが大きかったことを示唆している。
 世論調査は、自由党と保守党の接戦、選挙戦終盤でのケベック連合と新民主党の追い上げと、緑の党の凋落を示した。そして調査は一貫して、支持率に関係なく自由党が保守党より多くの議席を獲り、少数政権を築くことを予測した。世論調査は、信頼性を回復したと言っていいだろう。
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