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二大政党が接戦、連立の是非が焦点に [2019年下院選]

 CBCが10月18日に発表した政党支持率調査は、保守党31.7%、自由党30.8%、新民主党18.8%、緑の党8.3%、ケベック連合6.9%、人民党2.6%、その他0.9%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党133(89~187)、保守党123(82~171)、新民主党41(16~65)、ケベック連合38(22~50)、緑の党2(1~7)、人民党1(0~1)、その他0(0~1)(定数338議席、括弧内は最小と最大議席)となる。CBCは自由党少数政権の確率を48%、保守党少数政権の確率を40%、自由党過半数の確率を11%、保守党過半数の確率を2%と予測した。
 二大政党は2日前よりさらに支持率を下げ、過半数ラインとされる40%を大きく下回っている。情勢は2日前から大きく動いてはいないが、重要なポイントが二つある。一つは、保守党の単独過半数がほぼ不可能になったことであり、連立パートナーがいないため窮地に陥った。もう一つは、左派諸党の予想獲得議席がわずかに増えたため、自由党は新民主党またはケベック連合の一方と提携すれば過半数を得られることである。

 どの党も過半数に達しない可能性が高くなり、記者たちは主要政党党首たちに連立の意向を尋ねた。トルドー首相は連立に関するあらゆる質問への回答を避け、17日にケベック州トロワリビエールで次のように述べた。
「気候変動と戦い、家族に投資する激務を続けることができるようになるための、強力な自由党政権が再選されることに、我々は集中している。選択は、非常に非常に明確だ。」

 保守党のシーア党首は17日、オンタリオ州ブランプトンでインタビューに答え、保守党は他党と連立しないし、自由党は第一党になれなかった場合は連立して政権にしがみつくべきでないと語った。
「我々は、強力な保守党過半数政権を築けるようカナダ人にお願いしている。」
「近代カナダ史においては、最も多くの議席を得た党が政権を築くことになっている。」
「他党もまた、最も多くの議席を得た党が政権を築くという事実を尊重すると、我々は期待している。」
 実際には2017年ブリティッシュコロンビア州議会選挙のように、第一党が与党になれず連立政権が樹立された例はいくつか存在する。連邦政治では連立政権が成立した例はないが、1925年下院選で保守党は第一党となったにもかかわらず、自由党が進歩党の閣外協力によって政権を維持した例がある。
 保守党は支持者に電子メールを送り、「自由党は選挙に勝つことなく政権を握る方法を計画している」「カナダで民主主義を破壊する計略」と警告していたことが判明した。

 新民主党のシン党首は「保守党政権成立を阻止するため、必要なことは何でもする」と述べ、自由党との連立に前向きな姿勢を明らかにしてきた。彼はオンタリオ州ウェランドで、次のように述べた。
「カナダ人の60%以上は、保守党に投票しない。それゆえ、保守党が得票率40%以下で議会の過半数を得られると思うのは間違っている。」
「連立は禁句ではない。」
 「保守党政権成立を阻止する」というのは、決して嘘や冗談ではないだろう。だが彼の本心はむしろ逆で、左派有権者の票が保守党政権を阻止するため自由党に流れて行くことを阻止することであり、自由党との連立を明言することで、新民主党への投票は保守党政権阻止の目的に適うとアピールすることだろう。

 緑の党のメイ党首はバンクーバー島で、連立についてこう語った。
「選挙が終わるまで、連立について語るべきではない。」
「カナダ人のため、議会を機能させる方法について我々は備えていた。そのため、少数政権で議会を機能させる方法を見つけたとシーア党首が言うのは、間違っている。自由党とのみ提携すると言うシン党首は、間違っている。」

 ケベック連合のブランシェ党首は16日、政権支持はケース・バイ・ケースであり、制度的に政権を支援することには興味がないと述べた。
「ケベック連合が制度的に、政権の支援や連立はしないことに疑問の余地はない。」
「それがケベックにとってよいことなら、我々も追随する。保守党が我々の税還付を支持するなら、我々も追随する。もしもケベック連合が炭素税廃止を支持すると保守党が思っているなら、そうはならないだろう。」
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