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戦略的投票は有効か [2019年下院選]

 市民団体「リードナウ」は5000人の運動員を動員し、2015年連邦議会選挙において、保守党政権を打倒するための戦略的投票を呼びかけた。彼らの考えは、保守党候補を落選させるため、左派有権者は自由党か新民主党のより有力な候補に票を集中させようというものだった。
 彼らは、戦略的投票は効果があったと主張する。その根拠として、彼らが重点的に運動した11選挙区において、9人の推薦候補が当選した事実を挙げる。

 ライアソン大学で政治学を教えるダニエル・ルーベンソン教授は、オンタリオ州パークデイル-ハイパーク選挙区において、著名な現職女性議員ぺギー・ナッシュ候補が自由党の新人に敗れた事実を挙げ、戦略的投票は予想された以上に自由党の得票を上積みしたと考える。
 彼によると、男性より女性、貧困層より富裕層、低学歴より高学歴、若年層より高齢層がより戦略的投票に走りやすいという。

 だが政治評論家のブライアン・ブレゲット氏は、戦略的投票の与える効果を否定する。彼が2015年連邦議会選挙を研究した結果、戦略的投票を考慮する有権者はせいぜい10~15%、実際に戦略的投票をする有権者は5%以下であり、新民主党候補は戦略的投票により平均3ポイントしか上乗せできなかったと結論づけた。

 マギル大学で政治学を教えるエリザベス・ギデンギル教授は、有権者がしばしば支持政党の勝率を過大評価する事実を指摘する。彼女は、自分の支持する候補が世論調査で3位か4位につけているとき、その候補の当選可能性について尋ねると、かなり多くの人が「可能性はまだ半々だよ」と言うのを聞いた。
 また彼女は、有権者が党派心を克服することが非常に難しいことを挙げた。心理学者は、フットボールのファンは贔屓チームの勝利に貢献するためではなく、忠誠心を表現するために応援しているという。同様に有権者は、正しい政策を実現するためではなく、支持政党への忠誠心や愛国心を「表現」するために投票しているのだという。その原因として、投票所が非常に近いので投票のためのコストが低く、また1票の価値が極めて低いので誤った選択の与える影響が微々たるものであることから、有権者は自分の投票が死票になることなど実は恐れてなく、むしろ自分の「信仰」に忠実であろうとするというのである。
「それゆえ、たとえ彼らの支持政党が選挙区において、世論調査で3位か4位につけていたとしても、彼らはまだ自分が純粋に支持する党に投票したいのではないだろうか。」
「それは『表現的投票』と呼ばれている。人々は、自分の本当の好みを表現したいのだ。」
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