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新民主党がナンテル議員の選挙区に刺客、緑の党元党首を擁立 [2019年下院選]

 新民主党は9月16日、ケベック州ロンゲイユ-サンテュベール選挙区の候補に、ケベック緑の党のエリック・フェルラン元党首を擁立すると発表した。新民主党は同選挙区で、現職のピエール・ナンテル議員の擁立を決めていたが、彼が緑の党に鞍替えしたため除名していた。
 両党は政策的に近いとされるが、同じ有権者を奪い合う関係でもある。両党は全国的に激しい3位争いを展開しているが、8月にナンテル議員の鞍替え、9月にはニューブランズウィックで大量の党移籍があり、両党首も激しい舌戦を繰り広げ、泥試合の様相を呈している。
 今回の動きは、環境主義者にアピールしようとする「裏切り者」ナンテル議員に対し、古巣新民主党が強烈な刺客を放ったと言えるだろう。

 緑の党のメイ党首は「(ケベック)分離主義者(separatist)は公認しない」と公言してきたが、ナンテル候補は12日「私は(ケベック)主権主義者(sovereigntist)だ」と語った。
 「主権主義」とは、レベック元首相が提唱した「主権・連合」論に由来する。それは、主権を持つケベックがカナダと対等のパートナーシップを結ぶという構想で、過去の独立運動はこの路線に沿って展開された。それでいわゆる「(ケベック)独立派」は、自身を「主権主義者」と呼ぶが、独立に反対する「連邦主義者」はこれを「分離主義者」と呼ぶ。「カナダ英語話者のためのオックスフォード・ガイド」は、separatistを「ケベック独立を嫌う人々に用いられる用語」、sovereignist(sovereigntistと同義)を「ケベック独立を支持する人々に用いられる用語」と定義している。
 メイ党首は13日、記者会見で次のように述べた。
「彼は分離主義者ではない。彼はカナダの文脈における、強いケベック人である。」
「この国を解体するために働く候補は、我が党にはいない。」
 緑の党広報も、声明を発表した。
「緑の党には、ケベックの独自の文化に対する最大級の敬意があるが、独立運動を支持することはない。我が党は、投票を強制しない。個々の議員は、この問題に関し独自の見解を表明することが許されている。」
 ナンテル議員は、ラジオでこう語った。
「緑の党は両手を広げ、ケベック国家主義者、ケベック主権主義者などあらゆる種類の人々を歓迎する。なぜなら我々は、次の連邦議会選挙は気候問題に関する国民投票だと考えているからだ。」
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