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新民主党のナンテル議員、緑の党から立候補のため除名 [2019年下院選]

 新民主党は8月16日、ケベック州ロンゲイユ-サンテュベール選挙区の現職ピエール・ナンテル議員を「他党からの立候補を企図した」という理由で除名した。これを受けて緑の党は19日、ナンテル議員を次の総選挙で候補として擁立することを発表した。ナンテル議員は任期切れまで無所属議員となるが、解散・総選挙が目前に迫っており、連邦議会は総選挙後まで召集されない見込みである。14500WEB-1566248120-320x180.jpg

 ナンテル議員は、地球温暖化に真剣に取り組んでいるのは緑の党だけだと語った。
「気候問題を体現している人は、明らかにメイ党首だけだと思う。私が立候補するのは自分のためではなく、地球のためである。」
 新民主党のメリッサ・ブルーノ理事長は、声明で次のように述べた。
「ロンゲイユ-サンテュベール選挙区の新民主党候補ピエール・ナンテル氏は、他党から立候補する交渉をしていたことが確認されたため、候補から除外した。」
 ナンテル議員は以前にもケベック連合への移籍を噂されたが、5月に断念したという。
 緑の党のメイ党首も、ナンテル氏を擁立すると声明で発表した。
「ピエール・ナンテル氏は気候問題のリーダーで、彼は私が下院で出会った最も情熱的な議員の1人である。」

 ナンテル議員は、新民主党がケベックの79%の議席を獲得し、野党第一党に躍進した「オレンジ旋風」の2011年総選挙で初当選した。彼は2015年にも再選されたが、2位の自由党候補との差はわずか703票、3位のケベック連合候補との差は2298票という僅差の勝利だった。
 政党支持率は2019年の初め、新民主党は15%で、緑の党は7%だった。だが緑の党はその後、プリンスエドワード島州議会総選挙で野党第一党に躍進、ブリティッシュコロンビアの連邦議会補選でも勝利して意気揚々、最近の世論調査では6つのうち5つで新民主党を上回り、残りの1つも並んでいる。
 いっぽう新民主党は、ケベックで人気が振るわない。公共の場では宗教的表示をしないというフランスの「ライシテ」の影響が強く、頭にターバンを巻いたシーク教徒のシン党首が、不評をかっているのだ。新民主党はこのままでは、ケベックの議席の大多数もしくは全部を失うと予想されている。
 自由党はロンゲイユ-サンテュベール選挙区に、ケベック州で厚生・社会サービス大臣を務め知名度の高いレジャン・エベール氏を擁立すると発表した。なお緑の党は同選挙区ですでに、別の候補の擁立を決めている。

 ナンテル議員の行動は、他の新民主党議員たちの士気に大きな影響を与えるだろう。ただし、総選挙直前に緑の党に移籍した議員は過去に3人いたが、全員が落選している。
 自由党のブレア・ウィルソン議員は、総選挙での支出に不明な点があるとして党を除名され、緑の党に移籍して2008年総選挙を戦ったが、得票率は2006年の37.5%に対し、2008年は14.4%の4位で落選した。
 新民主党のブルース・ハイヤー議員は、党の方針に反し長銃登録制廃止法案に賛成投票して処罰され、2012年に離党して無所属となり、翌年緑の党に移籍して2015年総選挙を戦ったが、得票率は2011年の49.9%に対し、2015年は13.8%の4位で落選した。
 新民主党のジョゼ・ニュ=ニェメロ議員は2015年の総選挙で、選挙区の区割りが変わったせいもあり、現職なのに自動的に候補擁立されず、予備選で落選したため、緑の党から立候補した。得票率は2011年の43.3%に対し、2015年はわずか2.4%の5位で落選した。
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