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ベルニエ新党、自由党を利するだけ [保守党]

 多くのカナダ人が、保守分裂を覚えている。進歩保守党があまりにケベックを優遇し中西部をないがしろにしたという理由で、改革党が1987年に結成された。また進歩保守党がミーチレイク協定をまとめられなかったという理由で、ルシエン・ブシャールが離党し1990年ケベック連合を結成した。前者は進歩保守党の中西部の地盤を奪い、後者はケベックの地盤を奪った。換言すれば、両者は本拠地以外での議席獲得は困難だったが、特定地域で票を集中的に獲得できたため、1993年総選挙でどちらも50議席以上獲得できた。
 マクシム・ベルニエ元外務大臣が保守党を離党し、新党結成に動くというニュースは、関係者に多少の衝撃を与えた。彼は338の全選挙区に候補を立てるというが、資金や組織力はあるのだろうか。ストックウェル・デイ元国際貿易大臣は、ベルニエ氏に追随して離党する人はほとんどいないと予測したにもかかわらず、その影響力を懸念する。
「問題は、自由党政権を維持するのに半分(の離党者)は必要ではないことだ。多くの選挙区で、わずか2・3%獲ればいいだけだ。ジャスティン・トルドーは得票率約39%で、2015年総選挙で過半数を獲った。」
「保守党は、支持率も高く、基金調達も好調で、私はこの党大会が党の歴史上最も多い参加者だったと思っている。だが票を割るなら、トルドー氏の立場は強固なものになるだろう。」

 2017年党首選でベルニエ氏は巨額の資金を集め、49%もの票を獲得した。自分の地盤であるケベックからも、党の根拠地であるアルバータからも票を集め、リバタリアン的経済政策を掲げたが、レッドトーリー(保守党左派)からも票を集めた。彼は幅広い支持を集めているようだが、特定地域で集中的に支持されているわけではないので、票を分散させるリスクがある。緑の党は全国で、2004年に得票率4.3%、2006年に4.5%、2008年に6.8%、2011年に3.9%獲得したが、票の分散のため1議席も獲れなかった。
 最近の政党支持率調査では、与党自由党と保守党は拮抗しているものの、今総選挙が実施されたら自由党が過半数を獲る確率は、48%と算出されている。
 ここで仮にベルニエ新党の得票率を2%とすると、連邦議会で影響力を持つほどの議席獲得はできないが、自由党が過半数を獲る確率は65%にはね上がる。ベルニエ新党の得票率が5%なら、自由党過半数は81%である。ベルニエ新党の「保守党に与える影響力」は、壊滅的に大きい。

 スティーブン・フレッチャー元運輸大臣は、2015年の連邦議会選挙に落選し、現在はマニトバ州の州議だが、次の連邦議会選挙に立候補することを保守党に阻止された。彼は、保守党内にベルニエ氏のシンパは少なからずいると予測する。
「党員の半分は、マクシムの主義主張を支持する。そして残りの半分は、アンドリュー(シーア党首)について行く。そこで問題になるだろう。」
「アンドリューは、選挙区で私が保守党の予備選に立候補するのを妨害した。党員の意思が完全に無視される問題が、国中至るところにある。候補擁立は公開されたものでなく、密室で決められている。候補者は、党中央の要請でパラシュート降下しているのだ。」
 彼は、シーア党首は責任を取らなければならないと語った。
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