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ベヤック上院議員の寄宿学校擁護発言が波紋 [先住民]

 保守党のリン・ベヤック上院議員による、先住民の寄宿学校に関する発言の数々が波紋を呼んでいる。
 かつて先住民の子供たち15万人以上が、親元から引き離され、カナダ政府の助成を受けたミッションスクールで同化教育を強制された。彼らは母語の使用を禁止され、性的虐待を受け、何千人もの児童が学校で死亡した事実が明らかとなった。
 だがベヤック議員は、寄宿学校について「少数の先住民は、学校の居心地が悪いと感じていた」「先住民の子供たちの3人に1人が、寄宿学校に入れられた。親から引き離されたのはごく少数で、むしろ多くの子供たちは、狩猟や交易に従事するため長い間家を留守にしていた親によって、入学手続きされた」などと語り、ロナ・アンブローズ暫定党首(当時)によって3月、上院の先住民問題委員会から外されている。
 ところが9月上旬には再び、ホームページ上で「(先住民の)ステータスカードを返上し、かわりにカナダ市民権を得るべきだ」(筆者注※カナダで生まれた先住民はカナダ市民である)と主張したため、この問題に再び火がついた。

 保守党のアンドリュー・シーア党首は18日、次のように述べた。
「私はもちろん、彼女の意見に同意しない。彼女は、我々の党と幹部会を代弁していない。私はもちろん、彼女が言った言葉の選択を非難する。」
 彼はまた、ベヤック議員は「保守党幹部会で役割がない」と語った。彼女は上院の運輸委員会・農業委員会・防衛委員会の委員に任じられており、彼女が退任したとは報じられていない。保守党広報は、彼女がまだ委員のままかどうかを問われると、回答を拒否した。
 またシーア党首は、彼女を幹部会から除名はしないが、包括的メッセージを共有できないのなら、彼女が出て行くためのドアはすでに開けてあると語った。
 ヌナブート準州代表の先住民であるデニス・パターソン上院議員(保守党)は、彼女のコメントについて「馬鹿げている」と一蹴した。彼は、先住民はもちろんカナダ市民であり、またイヌイットの3分の1をはるかに超える人数が寄宿学校に収容されたと指摘した。
「これは、ベヤック議員が無分別に話した最初ではない。彼女の意見が上院と我が党の幹部会にとどろき、私は非常に動揺している。彼女の意見は挑発的で、攻撃的である。それらは、事実に基づいていない。」
 彼は、彼女の意見は主流にはほど遠く、その見解を共有する上院議員を一人も知らないとつけ加えた。
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 キャロリン・ベネット先住民・北方問題担当大臣は、自由党議員だが、ベヤック議員を保守党幹部会から除名するよう要求した。
「懸念すべきは、彼女が多くを学ぶべきだということをいまだに認めないことである。彼女がもう一度席に着き、寄宿学校の生存者から話を聞くよう提案する。彼らには、彼女に教えることが山ほどある。」


写真:リン・ベヤック上院議員(左)とキャロリン・ベネット先住民・北方問題担当大臣(右)。
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高橋幸二

 保守党のラリー・スミス上院幹事長は9月21日、リン・ベヤック上院議員を上院の運輸委員会・農業委員会・防衛委員会の委員から解任したと発表した。
 スミス幹事長は、ベヤック議員に党のガイドラインを提示したと語ったが、それが具体的にどういうものかは明らかにしなかった。彼は、彼女はまだ保守党幹部会の一員であり、この問題はこれで決着したと強調した。
by 高橋幸二 (2017-09-23 12:39)