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保守党は「強力な公式野党」か [2015年下院選]

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 保守党のローナ・アンブローズ暫定党首は、「強力な公式野党」と称して99人の院内勢力を誇った。だが今の保守党は、歴史的に見てそれほど強力なのだろうか。
 保守党は、2015年総選挙で得票率31.9%を記録した。彼らは、自党にいまだに根強い支持がある根拠としてこの数字を挙げたが、それは2011年に新民主党が記録した30.6%や、2006年に自由党が記録した30.2%とほとんど変わらないものである。なお両党とも、次の総選挙ではさらに悪い結果に終わっている。
 議席率においても、保守党が獲得した99議席は、3桁に迫る数だが、定数が338議席にまで拡大したため、議席率では29.3%にすぎない。それは過去42回行われた総選挙のうち、28番目に大きな最大野党であるにすぎない。カナダの最大野党は平均して議席率32%になるが、今の保守党はそれに9議席足りない。
 2つの表は、総選挙に敗北し下野した与党の議席率と得票率を示している。(なおマッケンジー・キング首相率いる自由党は、1925年総選挙で第2党に転落したが、進歩党の協力で政権を維持したので、表から除外している。)敗北し下野した16の与党のうち、今の保守党は議席率で12位にランクしている。また敗北し下野した与党の議席率は、平均で30.7%となっており、今の保守党はこれをわずかに下回っている。なお、1993年におけるキャンベル首相の成績が際立って悪く、平均値を大きく押し下げていることには注意を払う必要があるだろう。
 2015年のハーパー首相より成績が悪いのは、キャンベル首相、ターナー首相、ベネット首相、マーチン首相、ミーエン首相だが、世界恐慌の真っ只中にいたベネットを除き、あとの4人は有権者の信託を得ず前任者の辞任によって政権に就いたことには、注目すべきだろう。
 保守党の得票率31.9%は、16例のうちの11位で、平均値の37.1%を下回る。なお、ランキングの上位5つのうちの4つが、1921年以前であることには注意する必要がある。というのは、それ以前は2つの党のみが議席を有した純然たる二大政党制であり、それ以降は3つ以上の政党が議席を有する多党制だからである。
 客観的に見て、今の保守党はさほど強力とはいえず、むしろ平均以下といえる。単に定数が増えたため、議席の数が多いというだけである。
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