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喫煙被害についてJT子会社らに賠償を命じる [犯罪・事件]

 ケベック州高等裁判所は6月1日(現地時間)、同州の2つのグループが煙草の健康被害を訴えた集団訴訟について、日本たばこ産業(JT)子会社ら3社に総額156億カナダドル(約1兆5000億円)の賠償金の支払いを命じるとともに、7月26日までに約142億円の支払いを命じる仮執行を付した。3社は控訴し、仮執行の停止も求める意向を表明した。
 1998年9月セシリア・レトルノー夫人が、煙草常用から来る健康被害に対する損害賠償を求める訴訟を起こした。同年11月にはジャン=イブ・ブレ氏が、癌と肺気腫の被害に対する損害賠償を求める訴訟を起こした。両件は合併し「ブレ=レトルノー訴訟」となり、「喫煙の危険性について消費者に適切に警告することを怠った」「煙草の有害な影響に関する証拠を過小評価した」「悪質なマーケティングに関わった」「文書を破棄した」としてJTIマクドナルド社、インペリアル・タバコ社、ロスマンズ・ベンソン&ヘッジズ社の煙草会社3社に損害賠償を求めた。 喫煙者は非常に多く、270億ドルの賠償を求めた本件訴訟は、カナダ史上最大の民事訴訟として注目された。
判決は、1975年12月以前に喫煙を開始した肺癌・咽喉癌の原告には一人につき10万ドル、1976年1月以降に喫煙を開始した肺癌・咽喉癌の原告には9万ドル、1975年12月以前に喫煙を開始した肺気腫の原告には3万ドル、1976年1月以降に喫煙を開始した肺気腫の原告には2万4000ドル、煙草中毒の原告には5000ドル、さらに懲罰的損害賠償として5000ドルの支払いを命じている。

 煙草と健康に関するケベック会議のマリオ・ビュジョルド氏は、喜びを語った。
「今日は、この判決を17年間待ち続けた煙草犠牲者のための素晴らしい日だ。長い道のりだったが、目的地に到達できた。大いなる勝利だ。」
 訴えを起こしたブレ氏は2012年、肺癌で死去した。リズ・ブレ夫人は、記者会見で亡夫の遺影を掲げてこう語りかけた。
「あなたは、煙草がどういうものであるか立ち止まって考えたことがありますか?それはあなたを滅ぼすものです。あなたの健康は、完全に破壊されます。」
 原告側弁護士のブルース・ジョンストン氏は、煙草会社を非難した。
「煙草会社は、50年間嘘をついていた。ただ嘘をついただけでなく、共謀して嘘をついた。」
 JTIマクドナルド社は、判決の数分後には声明を発表した。
「当社は、裁判で提示された証拠は判決の根拠にならないと強く確信する。1950年代から、カナダ人には喫煙のリスクに対する非常に高い認識があった。40年以上の間煙草のパッケージに印刷された警告によって、その認識は補強された。」
 インペリアル・タバコ社のタマーラ・ジット副社長は、
「今日の判決は、成人消費者と政府が何十年も喫煙に関するリスクについて知っていたという現実を無視して、成人消費者をあらゆる責任から免責しようとするものだ。我々には控訴する強い根拠があり、合法企業として我々の権利を守り続けていく。」
と述べ、96%のカナダ人が喫煙が肺癌をひき起こす可能性を知っていると、1963年のギャラップ世論調査が示していることを指摘した。
 ロスマンズ・ベンソン&ヘッジズ社も、控訴する意向を述べた。

 JTIマクドナルド社は、RJRマクドナルド社を1999年日本たばこ産業が買収した子会社である。日本たばこ産業は2日(現地時間)、2015年12月期の連結業績に与える影響はないと発表したが、株価は急落し一時前日比75円50銭(1.6%)安まで下げた。
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