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世論調査、なぜ外れたのか [バンクーバーとBC]

 1年前にアルバータ州で、不利な予想を覆して選挙に勝利したアリソン・レッドフォード首相は、クラーク首相が「世論調査と政治評論家の誤りを証明した」ことを祝福するメッセージを送った。去年のアルバータ州とケベック州、そして今年のブリティッシュコロンビア州で、世論調査機関各社は予想を大きく外し、その信頼性が揺らいでいる。

 世論調査には、主に次の3つの方法がある。調査員による電話世論調査、自動音声案内による電話世論調査(IVR)、あらかじめ選ばれた回答者によるインターネット世論調査である。ブリティッシュコロンビアでは、電話世論調査はインターネット世論調査より正確な結果が出た。
 選挙結果に最も近かった世論調査は、自動音声案内による電話世論調査(IVR)であった。投票の5日前に発表されたフォーラム・リサーチ社のIVR調査は、自由党が支持率で新民主党を2ポイント下回っているものの、過半数ちょうどの43議席を獲得すると予測した。
 IVR調査は速くできるが、極度にランダム化されているため、多くの世論調査機関は高い信頼を置いていない。インサイツ・ウェスト社のスティーブ・モソップ社長は、フォーラム・リサーチ社の結果について「ただの偶然だろう」と述べた。
 インターネット世論調査はおおむね、予想を大きく外した。インターネット世論調査は、対象が若年層に偏りがちなため、消費者アンケートに広く使用される。
 いっぽう電話世論調査は、対象が年輩層に偏りがちで、調査員による調査ではしばしば正直に回答されないという事態に直面する。ジャスタソン・マーケット・インテリジェンス社のバーブ・ジャスタソン代表は「我々世論調査機関は、調査方法をオンラインへと発展させることで、若年層にシフトしてきた。しかし、選挙のシステムが投票所に行って紙に記入するという手法を取ることを考えると、年輩層向けかもしれない」と語った。
 移民一世の有権者には、カナダの公用語を解さない者もいて、世論調査の実施が困難な場合も少なくない。ブリティッシュコロンビア州は移民の割合が特に多く、世論調査は彼らの民意を汲み上げられなかった可能性がある。

 予想が外れた原因の一つとして、有権者の方針未定が挙げられる。オラクルポール・リサーチ社の調査では24%、インサイツ・ウェスト社の調査では15%と、多くの世論調査が膨大な層の未定者がいることを示した。
 さらにイプソス=リード社が1400人を対象に実施した出口調査は、有権者の10人に1人が誰に投票するかを投票日当日に決めていたこと、そしてこれらの有権者の多くが自由党に投票したことを示した。また有権者の5人に1人が、誰に投票するかを選挙の最後の週に決めていたこと、そしてこれらの有権者のうち41%が自由党に、34%が新民主党に投票していたことを示した。ここから同社は、選挙戦終盤の自由党による新民主党へのネガティブ広告は、破壊的影響力を持ったと結論づけた。
 予想が外れた原因として、自分の票が死票になるのを嫌い、本来の支持政党より有力な政党にスイッチする「戦略的投票」が挙げられる。
 アルバータとブリティッシュコロンビアの選挙には、二大政党+二小政党の組み合わせという共通点がある。アルバータ州議会選挙では、中道右派の与党進歩保守党が中道左派の自由党支持者の票を奪った。ブリティッシュコロンビア州議会選挙では、中道右派の与党自由党が右派の保守党の票を奪ったが、革新の新民主党は緑の党に票を奪われた。
 ECOSリサーチ社のフランク・グレイブ社長は、世論調査が外れたアルバータ州・ケベック州・ブリティッシュコロンビア州のそれぞれの選挙において、いずれも与党が予想以上の成績を上げたことに注目した。
「3つの与党は、選挙戦終盤に支持率を10ポイント以上上げた。明らかに、何かが作用していると見るべきだ。」
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