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スポーツくじ法案、上院で廃案か [スポーツ]

 プロ・スポーツの単一試合への賭けを可能にするC-290号法案が、3月に下院を通過したが、上院で廃案になる可能性が高まっている。
 C-290号法案をめぐる攻防は、大変奇妙である。第一に、この法案はジョー・コマーチン議員(新民主党)による個人提出である。法案は一般に、党の幹部会で審議され、賛成多数の場合は党議拘束がかかる。反対多数の場合は、党はその法案を支持しないことになるが、議員はなおも個人で法案を議会に提出することができ、この場合党議拘束がかからないので、自由投票となる。ゆえに個人提出法案が可決されるケースは多くはないが、C-290号法案は下院で全会一致で可決された。
 第二に、上院が下院を通過した法案を否決することは、非常に稀である。内閣を不信任しないことと、予算関連法案を取り扱わないことを除けば、上院は下院と同等の権限を有する。すなわち上院が否決すれば、法案は廃案となる。だが上院議員は選挙で選出されず、首相による任命制であり、上院は下院をチェックするためにあるので、下院を通過した法案を否決することは稀であり、1867年の連邦結成以来133回、最近の70年ではわずか8回にすぎない。

 コマーチン議員は法案の利点について、暴力団などによる違法な私営賭博に資金が流れるのを食い止め、公庫に入るようにすれば、公共サービスの充実につなげることができると説明した。だが真の理由は、彼がカナダ最大級のカジノを有するウィンザーを地盤にしていることに、深い関係があると見る向きもある。
 現行刑法は、複数のプロ・スポーツ試合への賭けを認めており、C-290号法案は単一試合への賭けを禁ずる条文を削除するものである。単一試合への賭けを認めれば、特定の一チームに働きかけて八百長が横行しかねない。NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)のビル・デイリー副コミッショナーは11月8日、単一試合への賭けが八百長をひき起こす危険性を指摘した文書を、上院憲法・法案委員会へ送付し、法案への強い反対を表明した。
 アメリカでは、49の州で単一試合への賭けが禁止されており、唯一の例外はラスベガスのあるネバダ州である。保守党のマイケル・チョン議員は、ネバダ州にはMLB(メジャーリーグ・ベースボール)もNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)もないという点を強調した。

 だが保守党のボブ・ランシマン議員は、一連の騒動について次のようにおどけて説明した。
「上院議員たちは、自分たちがまだ生きていて元気にやっているというメッセージを、国民に伝える絶好の機会だと思ってるんじゃないかな。」
(筆者注※上院議員は年寄りが多く、また下院の決議を覆すことはほとんどないため)
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