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外相秘書官が新華社女性記者に求愛メール [中国]

web-dechert10_j_1317838cl-8.jpg 外務大臣秘書官のボブ・デチャート議員が、新華社通信女性記者に求愛メールを送ったことが、9月8日に発覚した。二人はともに配偶者がいる。
 問題の文書はデチャート議員が、新華社通信トロント特派員の施蓉(シー・ロン)記者に宛てた電子メールで、何者かが彼女のパソコンにアクセスして盗み出し、政界・財界・学会など240人以上の人々に転送したものである。2010年4月17日に送信されたメールは、こう綴られていた。
「君はとてもかわいい。君が水辺で、頬を膨らませている写真が大好きだ。写真の中の君は素敵だ。そうしているときの君が、たまらなく好きだ。今、君がいなくて淋しいよ。」
 また、2010年4月20日に送信されたメールは、こう綴られていた。
「今日はどうしていますか。ロイヤル銀行のインタビューは、うまくいきましたか。記事を書くための十分な情報は、得られましたか。」
 このあと、オタワに向かう車の中で「君のことを考えながらのドライブは、楽しかった」と綴り、さらにこの日の連邦議会での投票について言及し、テレビで見るよう勧めている。
「午後6時半に投票があります。時間があったら、テレビかパソコンで見てみて下さい。私があなたに笑顔を送ります。
あなたに会いたいです。
愛を込めて、ボブ」

 デチャート議員は翌9日、声明を発表した。
「その人は、友人のジャーナリストです。問題のメールは軽率でしたが、私たちの関係は潔白であり、単なる友人です。私は、この騒動から惹き起こされたいかなる被害についても、謝罪します。」
「私の理解するところでは、彼女の電子メールがハッキングされたということです。」
 施蓉記者も、夫がメールボックスに不正にアクセスしたと語った。

 2010年1月、デチャート議員は夫人とともに台湾を訪問している。このとき中国国際経済連合会(CIEC)は、デチャート夫妻の9日間の旅行費用5697ドルの全額を負担した。旅行の目的は「二国間の経済協力を促進すること」であった。なおジョン・ベアード外務大臣には秘書官が2人いるが、デチャート議員の担当は北アメリカであって、アジアではない。
 カナダ政府やカナダのメディアは、中国国営新華社通信は諜報活動を行っていると明言している。今回の事件は、中国と深い関係にある議員がハニートラップに引っかかったと言われても仕方がない。
 新民主党広報のカール・ベランガー氏は、こうコメントした。
「我々は保守党政府に、世界の舞台でより友好的になって欲しいと望んでいるが、これは我々が望むものではない。」
 中国に滞在した元外交官で、ブロック大学教授のチャールズ・バートン氏は、こう述べた。
「肉体関係の有無に関係なく、デチャート議員は重大なミスを犯したので、秘書官を辞任すべきだと思う。この種の事件が、あまりにも多すぎる。この種の事件が続くことは、許されるべきではない。そういうメッセージが送られる必要がある。」

 中国系カナダ人の張海雁(チャン・ハイエン)さんは枢密院に勤務していたが、かつて新華社通信の海外駐在記者であったため、政府が身元安全調査を行い、「カナダ政府の安全に危害を及ぼす可能性が否定できない」として、2008年に解雇された。このとき警察と情報機関は、「新華社通信の海外駐在記者は、現地の情報収集が第2の任務である」と述べた。中国系のオリビア・チャウ(鄒至蕙)議員(新民主党レイトン党首夫人)はこれを、「小説や映画のごとき、根拠のないスパイ事件譚」と非難している。
 2009年に出版された「中国系ロビー団体」は、チャウ議員が推進し2007年に連邦議会で採択された、先の大戦中に日本が女性を軍人のための性奴隷にしたことへの謝罪と賠償を求める決議に賛成するよう工作したと述べた。この決議案を支持したALPHA(アジアにおける第二次大戦史を風化させず学ぶ会)は、同書で名指しされなかったものの、著者を名誉毀損で訴え、和解金を受け取っている。同書は問題とされた箇所を削除し、改訂版として再発行された。


【参照】新民主党、日本政府に従軍慰安婦への謝罪を要求
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2007-03-24


写真:ボブ・デチャート議員(左)と施蓉記者(右)。
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高橋幸二

施記者は、9月下旬にビザの手続きのため帰国する予定だったが、今週すでに帰国していることがわかった。彼女がカナダに戻れるかどうかは、不明である。
by 高橋幸二 (2011-09-16 21:52) 

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