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年初総選挙の可能性:保守党過半数は可能か [2011年下院選]

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 2006年2月に発足したハーパー政権は、来年早々に6年目を迎えようとしており、「史上最強の少数政権」と呼ばれたピアソン政権を間もなく追い越すことになる。ハーパー首相は2度の総選挙に勝利しているが、一度も単独過半数を獲得していない。ところがピアソン首相は、野党党首時代に総選挙で2連敗を喫したにもかかわらず、例外的に3度目のチャンスが与えられた。それは彼が、外相時代にノーベル平和賞を受賞したからだろう。3度のチャンスで勝利し首相の椅子を手に入れたピアソンは、その後2度の総選挙でいずれも勝利したものの過半数を獲れなかったので、彼は党首として4度の総選挙で一度も過半数を獲れなかったことになる。

 さて与党保守党は過半数割れのため、与党も野党もどちら側からでも解散・総選挙を仕掛けることができる。状況が野党に有利なら、野党は予算案を否決すればよい。状況が与党に有利なら、与党は総督に解散を奏上するか、野党が到底飲むことのできない予算案を上程し、野党に否決させればよい。
 EKOSリサーチ社が12月6日に調査した政党支持率は、保守党34.6%、自由党29.4%、新民主党16.4%、ケベック連合9.9%、緑の党8.5%、その他1.2%という結果となった。この結果をもとに、今総選挙が行われた場合の獲得議席をシミュレートすると、保守党130議席、自由党96議席、新民主党29議席、ケベック連合53議席(定数308)となる。世論調査は、もしも今総選挙が行われれば保守党が再選されることを示しているが、過半数には遠く、しかも議席を減らすことになる。

 保守党は現在143議席で、過半数に12議席足りない。2008年総選挙において、保守党が得票率4%以下の僅差で負けた選挙区が12選挙区あった。これらは次の総選挙で、保守党の最重要選挙区となることだろう。だが実はこれらのうち、奪取可能な選挙区はわずか3つしかない。ブリティッシュコロンビア州のエスカイモルト-フアン・デ・フカ選挙区、バーナビー-ダグラス選挙区、アルバータ州のエドモントン-ストラスコーナ選挙区である。
 エスカイモルト-フアン・デ・フカ選挙区のキース・マーチン議員(自由党)と、バーナビー-ダグラスビル・シクセイ議員(新民主党)は、次の総選挙に出馬しないと表明したため、現職議員はいないことになる。またエドモントン-ストラスコーナ選挙区のリンダ・ダンカン議員は、わずか1%の僅差で新民主党に奇跡的なアルバータの議席をもたらした。だがそこは伝統的に保守党の議席であり、次回総選挙で新民主党が議席を維持することは難しいだろう。
 残りの9選挙区のうち、5選挙区は2回以上当選したことのある現職に占められている。そのうちバンクーバー・サウス選挙区(ブリティッシュコロンビア州)はウジャール・ドサンジ議員(元ブリティッシュコロンビア州首相、自由党)、ブランプトン-スプリングデール選挙区(オンタリオ州)はルビー・ドーラ議員(元準ミス・インディアカナダ、自由党)のような有名議員がいる。そして、これらの選挙区は全て、現職の党ともう一つの野党で争われてきた長い歴史があり、保守党が奪取するのは極めて困難である。

 さて保守党はこのうちの3選挙区で勝利しても、なおもう9議席が必要となる。次の目標は、保守党が5~6%差で負けた10選挙区だが、奪取可能な選挙区は、2004年総選挙で保守党が獲得したニュートン-サウスデルタ選挙区1つしかない。残りの9選挙区のうち、3選挙区は強力な自由党議員によって占められている。ヨーク・センター選挙区(オンタリオ州)のケン・ドライデン議員(元ホッケー選手、元社会開発大臣、元人的資源開発大臣)、エグリントン-ローレンス選挙区(オンタリオ州)のジョー・ボルプ議員(元市民権・移民大臣)、マルペック選挙区(プリンスエドワード島州)のウェイン・イースター議員(元司法長官)である。ほかの3選挙区は、連続3回以上現職議員を当選させており、保守党候補を寄せつけない。

 2008年総選挙において、保守党が7から15%差で敗れた選挙区は28選挙区あるが、このうち奪取可能な選挙区は5つである。それはアバロン選挙区(ニューファンドランド&ラブラドル州)とブリティッシュコロンビア・サザンインテリア選挙区(ブリティッシュコロンビア州)のような、かつては長年保守党が保持していた選挙区や、キングストン&アイランズ選挙区のような現職のいない選挙区である。
 しかしこれら28選挙区のほとんどは、野党の有名議員たちに占められている。エイジャックス-ピッカリング選挙区(オンタリオ州)のマーク・ホランド議員、スキーナ-バルクリー選挙区の(ブリティッシュコロンビア州)ネイサン・カレン議員、ワスカナ選挙区(サスカチュワン州)のラルフ・グッデイル議員(元財務大臣、元公共事業及び政府サービス大臣)、エトビコーク-レイクショア選挙区(オンタリオ州)のマイケル・イグナティエフ議員(自由党党首)などである。
 逆に、2008年総選挙において保守党が5%以下の僅差で勝った17選挙区は、うち13選挙区が無名の平議員によって占められている。17選挙区のうち6選挙区は、前回敗れた自由党または新民主党候補が再び立候補することが予想されており、そのうち3選挙区は、自由党または新民主党が長年保持してきた選挙区である。17選挙区のうち8選挙区は、次の総選挙で奪回されそうだ。

 グレーター・トロント地域で自由党は、現在26議席を持っている。前回総選挙において45%以下の得票率で当選した議員は、次回も当落線上の厳しい戦いとなるだろうが、自由党にはそのような選挙区は10区しかない。
 現在の支持率なら、保守党は東部とグレーター・バンクーバーで若干の議席を奪取し、全国では20議席奪取も可能だろうが、もういっぽうでは奪取されるリスクのある選挙区もいくつか抱えている。奪取できそうな全ての選挙区を保守党が獲得したとしても、議席は154にとどまり、過半数になお1議席足りない。過半数に必要な12議席増は、かなり困難と言わざるをえない。

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