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「9・11テロリストはカナダから入国」発言 [アメリカ]

 アメリカのジャネット・ナポリターノ国土安全保障長官は4月20日、テレビのインタビューで、9・11同時多発テロ実行犯はカナダから入国したと示唆する発言を行った。さらに24日、ジョン・マケイン上院議員(元大統領候補)が「フォックス・ニュース」において「周知のとおり、9・11のハイジャック犯の何人かはカナダから入国した」と発言し、ナポリターノ長官を擁護した。

 ナポリターノ長官は20日、インタビューで
「カナダはメキシコではない。麻薬戦争はなく、麻薬に関連する年間6000件の殺人事件もない。それでもなお、カナダとの国境を越えて、テロリストまたはテロ容疑者が我が国に入国したという事実がある。」
と発言し、9・11のハイジャック犯がカナダから入国したことを示唆した。しかしアメリカの9・11調査委員会は2004年、ハイジャック犯全員がカナダ以外の国から入国したことを明らかにしている。ナポリターノ長官の発言はカナダ政府の抗議を呼び、世論の激しい批判にさらされた。
 ナポリターノ長官は21日、質問の意味を誤解していたと釈明し、カナダを「密接な同盟国にして重要なパートナー」と呼んだ。しかし同時に、国境の規制が軽くなることはないと表明した。
「私は、9月11日のハイジャック犯がカナダから入国しなかったという事実を知っている。それでもなお、テロリストがカナダからアメリカに入国しようとしたほかの例がある。『ミレニアム・ボンバー』(注※本名アームド・レッサム)はよく知られている。本当の問題は、そこにある。」
 だがミレニアム・ボンバーは、1999年に未然に逮捕されている。それはすなわち、9・11以前のセキュリティ・システムが機能していたことを示している。
 9・11からすでに8年が経過したが、カナダ人は依然として、アメリカ入国の際パスポートの提示を求められている。空港では今も、カナダ人はセキュリティ・チェックのため靴を脱がなければならない。
 オバマ大統領の公約の一つに「恐れによる政治を終わらせる」というものがあった。にもかかわらずナポリターノ長官は、不法移民と麻薬戦争の続く米墨国境警備を強化する必要のため、9・11テロの恐怖を思い出させ、米加国境の不安を煽る戦略をとったのだ。
 ナポリターノ発言について、RCMP(カナダ連邦警察)のウィリアム・エリオット長官は、
「私は驚き、失望した。しかし長官がそのような事実はなかったと認める声明を発表したと聞いているので、私は満足している。」
とコメントした。またカナダ経営者会議のトーマス・ダキノ議長は、
「私はアメリカ合衆国の長年の盟友である。しかし両国間の誤解はしばしば私の頭を悩ませる。9・11テロリストの何人かがカナダからアメリカに入国したという話は、メディアの誤報から始まった都市伝説に過ぎない。」
と語り、発言を非難した。

 ナポリターノ発言をようやく鎮火させた矢先に、今度はジョン・マケイン上院議員が「9・11のハイジャック犯の何人かはカナダから入国した」と発言し、カナダ政府を再びいらだたせた。マイケル・ウィルソン駐米大使は、ただちに反論の声明を発表した。
「9・11調査委員会が2004年に報告したように、9・11のテロリスト全員はカナダ以外の国からアメリカに入国し、そこからアメリカ各地の主要な空港へ飛んで行った。彼らは、アメリカ政府から支給された文書を持ってアメリカに入国した。9・11のテロリストで、カナダから入国した者はいなかった。」
 ウィルソン駐米大使はその後、マケイン上院議員をカナダ大使館に招き会食している。マケイン氏は、カナダへの同情を表明した。
「明らかな違いは、北の国境には腐敗がないということだ。そして残念なことに、重大な腐敗と麻薬カルテルが、南の国境にはある。」
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