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野党3党連立協定に調印、ディオン内閣発足へ [2008年政治危機]

2360648 12月1日、自由党・新民主党・ケベック連合の野党3党は連立協定に調印し、ステファン・ディオン党首を首班とする連立政権を樹立することに正式に合意した。連立協定の主な内容は以下のとおり。
・自由党のステファン・ディオン党首を首班とする。
・閣僚ポストは、首相とは別に自由党18・新民主党6・ケベック連合0とする。財務大臣のポストは自由党のものとする。
・自由党と新民主党の連立協定は、更新されない限り2011年6月30日まで効力を持つ。
・ケベック連合は、2010年6月まで閣外協力する。予算や施政方針演説などの信任動議では連立与党を支持するが、それ以外では自由に投票する。
・自由党幹部会と新民主党幹部会はそれぞれ異なる幹部会として存続し、場合によっては合同幹部会を開く。
・上院議員や最高裁判事等の指名に関し、首相は新民主党党首に意見を諮るものとする。

2362741 自由党と新民主党はケベックを国家と認める条項の追加を拒否したため、ケベック連合は閣外協力にとどまることになった。ケベック分離主義のケベック連合が、ケベック人だが連邦主義のディオン氏を支えて行くのも奇妙な話である。3党の間には政策上の隔たりがあり、ディオン党首は選挙期間中、新民主党との連立を否定していた。連立政権の船出は前途多難が予想される。
 マギル大学で憲法を教えるスティーブン・スコット教授は、左派連立政権について次のように述べた。
「長い目で見ると、連立は自由党の利益にならない可能性がある。自由党は、二大政党の一角として国民に幅広く支持され、カナダの歴史のかなりの部分において単独で政権を担ってきた。その自由党が今や、政権奪回のため他の2つの党を頼っている。
ラクダの鼻をテントに入れると、ラクダの全身をテントに入れることになる。ラクダはレイトン党首だ。新民主党を支持していない自由党やケベック連合の支持者は、やがて新民主党の政策に感化されるかもしれない。今まで自由党の補完勢力でしかなかった新民主党は、わずかな閣僚ポストを得て政権のテントに鼻先を入れ、やがてはテント全体を乗っ取るかもしれない」。

 ジム・プレンティス環境大臣は、倒閣を阻止するためあらゆる手段を講じると発表した。有力な一つの手段として、ハーパー首相が議会の停会を総督に要請するというものがある。これはもちろん合憲だが、野党が新たな政権を樹立しようとしているときに議会が停会された前例はなく、このような要請は総督を困惑させることになるだろう。ある保守党議員は、前回総選挙からわずか2か月後の解散・総選挙に総督が抵抗を感じるなら、議会を今月停会し来年再開すれば、さらに1・2か月が経過しているから、解散・総選挙に勅許を与えるかもしれないと語った。
 だが保守党のダリル・クランプ議員は「停会はただの時間稼ぎにすぎず、ハーパー政権は遅かれ早かれ打倒されることに変わりはないだろう」とコメントした。


写真上:連立協定に調印する野党3党党首。右からジル・デュセップ党首(ケベック連合)、ステファン・ディオン党首(自由党)、ジャック・レイトン党首(新民主党)。
写真下:連立協定最終ページの署名。
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