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ハーパー政権、政党助成金廃止を撤回 [2008年政治危機]

 憲法危機が懸念される中、ハーパー政権は野党との対立を回避するため、ついに政党助成金廃止を撤回した。
 ジョン・ベアード運輸大臣は11月29日、政党が1票得票するごとに1.95ドルの助成金を受けられる制度を変更しないと発表し、次のように語った。
「政党助成金問題はおそらく、次の選挙で国民と議論すべき問題であろうが、この問題のために解散して総選挙を実施するほどの価値があるとは考えていない」。
 12月8日に提出される予定になっている内閣不信任案は、以下のような内容になっている。
「カナダ経済の深刻な状況を認識せず、特に景気を刺激するためのいかなる信頼性のある対策をも提示することなく、また製造業・自動車産業・林業など逼迫した産業において労働者と事業の援助を履行しない事実に鑑み、本院は政府を不信任し、下院において実行力のある新たな政府が構成されることを求める。」
 これを見るかぎり、内閣不信任の理由はその経済政策への不満と読めるが、本当の理由は、政党助成金廃止が野党3党にとって死活問題だからである。この2つの問題は同時に発生しているため、野党3党は真の理由を伏せ、あくまでも国民のための経済政策を理由として倒閣運動することができる。
 政党助成制度は2003年、ジャン・クレチエン首相が彼自身を含む閣僚の金銭スキャンダルに対応すべく、企業や組合からの政治献金の禁止と抱き合わせで成立させたものである。ゆえに組合からの献金が認められないまま政党助成金が大幅に削減されるのは、左派政党である現在の野党3党にとっては大きな痛手となろう。
 カナダ国民の中には、彼らの税金が分離主義のケベック連合にも助成金として支給されることに異論を唱える者がいる。他党が選挙運動のため飛行機に乗り全国を駆けずり廻っている間、ケベック連合はバスに乗りケベック州だけを廻り、フランス語だけの広告を掲載しているのだ。

 政府与党の方針転換について、自由党のスコット・ブライソン議員は以下のように述べた。
「首相は政局と政治的ゲームにのみ執心し、国民の声に耳を傾けていない」。
「このような厳しい状況において、国民の貯蓄と雇用を守る本当の対策を見るまでは、我々は首相を支援することはできない。我々がG7各国で見た重要な景気刺激策を、政府は採っていない」。
 自由党の経済顧問委員長ジョン・マッカラム議員は、こう語った。
「ビル・クリントンの言葉を借りて言うなら、『経済だよ、お馬鹿さん』。電車は駅を通過したとは言わないが、速度を増している。今の時点では、政府の言い分を信用するのは難しいだろう」。
 新民主党の広報担当ブラッド・ラビーニュは、政党助成に関する政府の方針転換は、連立政権樹立を阻止する何の影響力もないとして、
「この変更には意味がない。我が党にとって問題は資金調達ではないからだ」
とコメントした。
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