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BC州で炭素税導入 [バンクーバーとBC]

 7月1日からブリティッシュコロンビア州で、炭素税が導入された。ガソリン小売価格1リットル当たり2.34セントが課税されることになったが、一部のガソリンスタンドでは1リットル当たり1.5ドルもの便乗値上げも行われ、住民の不満の声も聞かれる。
 炭素税は全ての化石燃料に適用され、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、石炭、プロパンガス、家庭用暖房燃料などが対象となる。値上げ幅はガソリンが1リットルにつき2.34セント加算され、毎年段階的に値上がりし2012年には7.2セントにまで引き上げられる。ただし電気は課税対象外である。
 州政府は炭素税による税収を、3年間で約18億5000万ドルと見込んでいるが、同時にこれらの増収は、基本的に全て州民に減税という形で還元されることになる。来年から2011年までの法人税、中小企業税、所得税の引き下げや低所得者向けの減税にはじまり、環境に配慮した家電や自動車購入時の奨励金制度も続行する。
 法人所得税は12%から11%(小規模事業者の優遇税率は4.5%から3.5%)に引き下げ、2011年までに10%まで引き下げるとしている。この結果、ブリティッシュコロンビア州の法人税率はカナダで最低となる。また連邦税と州税を組み合わせると、ブリティッシュコロンビア州の法人課税は合計25%となり、アメリカの平均法人税率より10%も低くなる。そして個人所得税は、最初の7万ドルの所得について2008年に2%の税率カット、2009年に5%の税率カットを行う。

 炭素税についてキャロル・テイラー財務大臣は、
「これは、健全な環境か強固な経済かのどちらかを選ばなければならないという概念を覆すものです。原理は単純です。炭素を排出する燃料に課税してその使用を食い止め、人々や企業に資金を還元するのです。そうすれば人々や企業が化石燃料の使用を抑制します。炭素税をどのように受け入れるかについては、人々も企業も自らの選択ができます。同時に、より商業的な採算が合うように、もっと環境にやさしい選択をすれば、それが州全体での革新を促し、新しい経済の機会を切り開くことになるのです。人々の生活パターンをより環境を意識したものに変えるためのもので、州民の意識改革を促すための政策です」
と語ったが、ガソリン価格の高騰が消費者のエネルギー消費をすでに冷え込ませており、炭素税導入は経済に悪影響を与えるだけという批判の声もあがっている。
 カナダ経営者評議会(CCCE)は「連邦政府と州政府の間で一貫性のある政策が採られなければ、産業界や消費者に対して効果に見合わないコストを負わせることになる」とコメントした。また連邦政府のジョン・ベアード環境大臣は「ブリティッシュコロンビアで機能することは、ノバスコシアでは機能しないかもしれない。オンタリオでうまくいくことは、アルバータではうまくいかないかもしれない。各州は各州に沿ったアプローチが必要だ」と語った。

 環境税導入に先立ち6月には、炭素税の課税が減税に先行することの影響緩和措置として、現財政年度の剰余金を財源として「気候変動対策配当金」を、全州民に1人当たり100ドル支給した。これについてカナダ納税者連盟ブリティッシュコロンビア州支部のM・ベーダー氏は「炭素税に対する批判の声を最小限に食い止める手段にすぎない。政府はそもそも州民のものだったお金を還元して、手数料を取るのだから馬鹿馬鹿しい」とコメントした。
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