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ダライ・ラマ14世、初めてカナダを公式訪問 [中国]

 カナダのスティーブン・ハーパー首相は10月29日、同国首相として初めてチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と公式会談を行った。ダライ・ラマは2004年にカナダを訪問した際には、ポール・マーチン首相と非公式の会談を行っている。
 ジェイソン・ケニー多文化主義・カナディアンアイデンティティ担当相は「歴史的な会談だった」と評価し、「チベットの人々のために文化的自治だけを主張している72歳の平和主義者の僧侶を攻撃することは逆効果だというメッセージを全世界が受けとってくれるよう期待する」と述べた。同相によると、会談は約40分間、人権問題、チベットの歴史、チベットの人々の窮状などについて「十分かつ率直な意見交換」が行われたという。
 ダライ・ラマは、カナダ名誉市民の地位を与えられたことに感謝の意を示した。
 先にダライ・ラマから懸念が表明されていたアフガニスタンにおける北大西洋条約機構軍主導の多国籍軍による戦闘任務については、会談では触れられなかった。

 中国外務省の劉建超報道官は2007年10月30日、北京での記者会見で「こうしたカナダ側の行為は中国人民の感情を著しく傷つけ、中国・カナダの関係を大きく損なわせた」「中国は強い不満と断固たる反対の意と表明する」「カナダ側は中国側のこれまで何回もの厳正な申し入れを無視し、ダライ・ラマのカナダ入国を許可し、更にカナダの指導者がダライ・ラマと会見し、ダライ・ラマのために関連活動を行ったが、これは国際関係の基本準則にひどく違反しており、中国の内政に対する横暴な干渉である」「チベットは中国の切り離すことの出来ない一部分であり、カナダ側のこの挙は、中国人民の感情をひどく傷付け、中国カナダ関係をひどく損なった。中国側は、カナダ側がこの問題での誤った行動を真剣に反省し改め、効果的な措置を直ちに講じ、劣悪は影響を取り除き、チベット独立勢力の中国を分列させる行動への支持と中国の内政への干渉を直ちにやめ、両国関係にこれ以上損害をもたらさないよう要求する」と強い抗議の意を表明した。

 中国は、ダライ・ラマを中国からのチベットの独立を主張する危険な「分離主義者」とみなし、各国首脳に対して会談に応じないようこれまで再三にわたって警告を発しているが、今年に入ってから米国のジョージ・ブッシュ大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、オーストラリアのジョン・ハワード首相が相次いでダライ・ラマと会談している。


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高橋 幸二

 9月27日付「ナショナル・ポスト」紙の報道によると、カナダ外務省マックシム・バーニア長官はすでに、オーストラリアで開かれたAPECで中国外交部長からのクレームを受けたという。これを受けて、ルシュミン駐中カナダ大使はハーパー首相に、ダライ・ラマとの会談を改め、チベット問題の対応に慎重にすべきだと呼びかけていた。
 いっぽうダライ・ラマの日本訪問について、オタワ・カールトン大学のカワリアオ教授は「ダライ・ラマの今回の訪問および11月中に行われる日本への訪問は、中国の国際的イメージに対してマイナスの影響はないため、中国からの抗議は建設的でなく、意味はない」と分析した。
by 高橋 幸二 (2007-12-01 23:29) 

高橋 幸二

 民意調査会社SESが、今年7月28日から8月4日までに18歳以上のカナダ人1001人を対象に行った調査によると、ハーパー首相はダライ・ラマと面会すべきだと回答した人は87%で、反対意見は7%だった。
 この結果に対しSES社のニック・ナノス主席は、人権および自由を大切にするのがカナダ人の伝統であるとし、調査の結果には驚かないと語った。調査対象の69%が「中国との貿易関係に潜在的影響が存在するかどうかにかかわらず、カナダは中国政府に対しチベットの人権および自由問題を提起すべきだ」と回答した。
by 高橋 幸二 (2007-12-01 23:30) 

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