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カルガリー事件の藤井受刑者、国外追放に [犯罪・事件]

10483601.jpg 2001年にアルバータ州カルガリーで起きた乳児放置死事件で、長男ドミニク・ブラウン君(当時15ヵ月)と長女ジェミニ・ブラウンちゃん(同3ヵ月)を餓死させた日本人、藤井理絵受刑者(28歳)が2006年5月、国外追放された。
 1997年4月に英語学習のためカナダに入国した藤井元受刑者は、カナダ人男性ピーター・ブラウン氏(当時22歳)と内縁関係になり、2000年2月に長男ドミニク=リュー、2001年2月に長女ジェミニを出産。2000年10月にビザが失効した後も同市に不法滞在していたが、ブラウン氏と別れ、新しい恋人C.N.氏との交際が始まった。そして藤井元受刑者は2001年5月8日、子供をアパートに残したまま同州コクレーンのC.N.宅を訪ね、10日後に帰宅すると子供たちは餓死していた。藤井元受刑者はジェミニちゃんの遺体をゴミ袋に入れゴミ集積所に捨て、ドミニク君の遺体は部屋に隠していたが、アパートの管理人が6月5日、立ち退きを通告するため部屋を訪れた際、腐臭を感じたため警察に通報し、翌日逮捕された。ch02062c.jpg
 ブラウン氏によると、2人の4年間の関係は4か月前に終わっていたという。藤井元受刑者は、両親から毎月2000カナダドルの仕送りを受けていたが、これは物価が安いカナダ(アルバータ州は州消費税がない)では充分に生活していける額である。だが同棲していたブラウン氏は働こうとせず、彼女に仕送りされるお金で生活し、そのほとんどをドラッグやギャンブルに使い、さらに藤井元受刑者を家庭内暴力で精神的・肉体的に虐待した。その後藤井元受刑者は引っ越して、ブラウン氏に居場所を知らせず、子供たちにも会わせないようにしていた。
 なおブラウン氏は窃盗罪など複数の容疑で指名手配されており、カルガリー警察に逮捕されている。

 2002年9月9日、故殺罪で起訴された藤井被告は、懲役8年の実刑判決を受けた。藤井被告は既に15か月間収監されており、その期間の2倍分が差し引かれるため、実際の服役は残りの5年6カ月である。マーチン裁判長は公判で、ブラウン氏もこの事件に対して道義的責任を負うに値すると述べし、「もしも『人間の良心』についてこの裁判が行われるなら、彼はおそらく彼女とともに被告席に座ることになっていただろう」と述べた。

 藤井被告は6月に行われた審問で、己の非を認め、謝罪した。
 「自分が幼い子供たちにした行為が、どんなに残酷でむごたらしいものであるか理解しています。私は間違っていました。なぜそんなひどいことをしてしまったのか、自分でも分かりません」
 英語を学ぶため渡航した憧れのカナダで待っていたのは、予想もしない現実だった。暴力と貧困と子育てに疲れ果て、新しい男性との出会いで全てを忘れようとした彼女にはもはや、子供たちをアパートに10日も放置すればどうなるかという、正常な判断力は失われていた。

ch02062d.jpg 公判のためカナダを訪問していた藤井被告の両親は、声明文の中で、娘をサポートしてくれたカルガリーの人々に感謝の意を表すとともに、人々に不安を与え迷惑をかけたことを謝罪した。また、カナダに暮らす日系市民の印象を傷つけたとして、日系社会の人々へのお詫びの言葉も書かれていた。両親は前年のうちにドミニクちゃんの葬儀を行い、灰を日本に持ち帰っているが、遺体が発見されていないジェミニちゃんについては、日本に帰る前にぜひ追悼式を行いたいと語った。
 両親は、自分たちの娘に2人も子供がいたことをまったく知らなかった。父親は、事前に2人の孫の存在と娘のトラブルを知っていれば、なんとか力になってあげられたものを、と語っていた。23歳の娘は、両親の反応を恐れて言えなかったようだが、両親は喜んで家族に迎えたのに、と語っている。

 藤井元受刑者はその後エドモントン女子刑務所に収監されていたが、昨年、拘留期間も含め受刑年数が3分の2を経過したために開かれた仮釈放聴聞会で、国外追放措置を希望。帰国後は心理カウンセリングを受けたり、ビジネススクールに行きたいと語った。


写真上:藤井理絵元受刑者。
写真中:藤井理絵元受刑者とドミニクちゃん。
写真下:ジェミニちゃん。

(※日本の多くのメディアでは犯人の写真は掲載されていませんが、成人の殺人犯であり、カナダで実名・顔写真が報道されていることから、当ブログで掲載しました。悪しからずご了承下さい。)
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高橋 幸二

この事件は、藤井元受刑者をサポートできず犯行を未然に防止できなかったカルガリーの地域社会に衝撃を与えた。

事件が起きたアパートの住人によると、以前から子供がよく泣いており、真下の部屋に住んでいた女性は、クリスマス以降5回も警察を呼んだという。警察は2回来たが、子供の癇癪という説明を受け、警察官も部屋の中までは調べなかった。その泣き声も、事件発覚の数日前から聞こえなくなっていた。

外国で暮らすことによって味わう孤独感・疎外感、文化的差異、言葉の不自由。違法滞在で、公共施設に助けを求めることでそれが露見するのを恐れていたこと、就労資格がないにもかかわらず仕送りを奪われたこと、そこへドメスティック・バイオレンスや育児ストレスが加わり、最悪の結果を引き起こしてしまったと考えられる。そして藤井元受刑者は助けを求められなかったばかりか、未婚で子供を産んだという事実を日本の両親に話すことさえできなかった。
公判では日本社会学が専門のアルバータ大学教授が、日本では未婚の母は社会規範に反する行為としてみなされ、家族全体に恥辱と汚名をもたらすと説明した。

この事件はまた、カナダ日系社会にも大きな波紋を呼んだ。就労の困難、不法滞在、言葉が不自由であるにもかかわらず地元男性と交際すること、未婚の母となること、夫に生活力がなく、ドラッグに溺れ、家庭内暴力を行使するなど、日系社会が抱えてきたありとあらゆる問題が見事なまでに凝縮されていたからである。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 22:21) 

mikan

ある朝、新聞の1面トップを 藤井理絵容疑者の大きな顔写真でしめられていました。「日本人?子供2人を餓死?」の文字に驚き、その新聞をすぐに買いました。
私がカナダ、カルガリーに来てすぐの事件だったので、衝撃的でした。私は子供が犠牲になるニュースほど大嫌いなものは無いからです。

比較的、皆さん良心的に解釈している方が多いようですけれど、所詮はすべて自己防衛のためにやったこと。ESLでは英語だけではなく、カナダで生活する上で大事なこと 生活のための知識 困った時のサポートしてくれる団体名なども教えてくれます。彼女はいったい何を勉強していたのでしょうね。私はカルガリーでESLに行きました。また、ESLですから移民のサポート情報は常に、事務所や廊下教室などにもありました。藤井理絵容疑者の、気持がそういうところに向いていなかっただけだと思います。
カルガリーの新聞では藤井容疑者はパーティアニマルだと言われていました。ドラッグが好きで、まともな職に就かない人がよく行くようなバーなどに出かけることが好きだったのですから、自業自得です。また新しい恋人のC.N氏とも そういう場所で知り合っています。C.N氏と1週間過ごしたコクレンはカルガリーのダウンタウンからでも車で40分で行けるような距離です。様子を見に行こうと思えばいつでも行けたでしょう。
ようするにせっかっく家庭内暴力から逃げたにもかかわらず、低所得者が行くようなバーに行くことのほうが楽しくて子育てを放棄した。ウツだとか、人格障害とか言いますけど、それは裕福な親が与えてくれた弁護士の手腕なのでは?
それに、日本の方は結婚していなかったと言うことも同情的にとらえているけれど、カナダの人たちは結婚という形式にこだわらない人が多く、同棲して子供がいれば家族なんですよ。職場の同僚たちだって軽く「妊娠したけど結婚はしないわ。」と言っています。でも皆一緒に住んでいます。こういう背景も考えてほしい。
収監されたのちも、C.N氏との手紙のやり取りをし、早く会いたいとラブレターをたくさん書いて、反省の色なしと言う報道もされていました。
2006年には釈放されていたのですね。
すでに日本で新しい家庭でも持っているかもしれませんね。
私は藤井理絵容疑者に同情なんかしません。

私には、援助してくれるような親もいない、障害児の子供を抱えて大変な時がある。でも、子供がかわいいと思えばこそ頑張れる。当時23歳の藤井容疑者は若すぎると言うことは無い。

藤井容疑者が載っている新聞、今でも保管してあります。

この事件 私は一生忘れないでしょう。

by mikan (2009-11-16 14:27) 

ハーバーセンターくん

>藤井容疑者が載っている新聞、今でも保管してあります

ぜひ、画像で送っていただけないでしょうか。
by ハーバーセンターくん (2009-11-16 21:42) 

NO NAME

アホかまだ刑期は完全に終えていないとはいえ仮釈放されてる人の実名・写真晒す行為は訴えられたら確実に負けるぞ。
by NO NAME (2014-02-12 07:44) 

高橋幸二

刑期はすでに終えています。写真は私が撮影したものではなく、カナダの新聞に普通に掲載されているものです。
by 高橋幸二 (2014-02-12 18:32) 

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